スペインは歴史の街。紀元前3,000年ころアフリカから渡ってきたイベロ族、その後フェニキア人、北からのケルト人、ローマ人、ゲルマン諸族、そしてイスラム勢力の拡大とともにやってきたベルベル人。多様な民族の混合は、長い歴史の中でこの国独特の文化・風俗・習慣を生みだし、人間模様を織りなしている。
このようなスペインの多元的であり多様な歴史は、今でも街のあらゆるところに壮大なドラマを秘めて残されている。スペイン各地に残されている『古城』を訪ねると、この国のもつ入り組んだ複合性を垣間みることが出来るでしょう。

第22城 ドーニャ・ウラカの塔
(コバルビアス/ブルゴス県)

●建設年代:主に10世紀。13〜14世紀に増改築保存状態:修復済み。18世紀に火災に見舞われ、内部は破壊されてしまった。
●アクセス:N-1レルマから、C-110で20kmほど。
●見学:個人所有のため、内部見学不可
●周囲のみどころ
コバルビアスのコレヒアータ(参事会教会)は必見! また、周辺には、サント・ドミンゴ・デ・シロスの他にも、この地方の中世史を物語る名所旧跡がいっぱい。コバルビアスからC110を更に進んだところにあるサン・ペドロ・デ・アルランサ(San Pedro de Arlanza)修道院は、現在では廃虚となってしまったが、カスティーリャ初代伯爵フェルナン・ゴンサレスが埋葬された所。C-110からC-234をブルゴス方向に向かうと、キンタニーリャ・デ・ラス・ビーニャス(Quintanilla de lasVi紡s)の外れにある小さな教会は、現存する数少ない西ゴート教会の貴重な例。コバルビアスからBU-902を南に向かうと、サンティバニェス・デル・バル(Santiba貌z del Val)には、12世紀のモサラベ教会がある。

スペイン、特にカスティーリャ地方のお城について語る時、この搭に触れないわけにはいきません。ここで紹介している中世の城塞建築の、最初期のもの。がっしりとした塔と、それを囲む城壁だけの城塞です。
ロマネスクの美しい回廊で有名なサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院の近くから山の中に入り、くねくねとした道を進むと、山間の川の辺に美しい村が見えてきます。イスラム教徒侵入後、ドゥエロ流域は無人地帯になっていましたが、カスティーリャ伯フェルナン・ゴンサレス(在960〜970)が、ここを再植民。彼の死後、その息子ガルシア・フェルナンデスが伯位を継ぎ、伯領が初めて世襲されることで、将来のカスティーリャ王国への基盤ができます。そのガルシアは、972年、コバルビアス周辺を修道士から買い取り、ブルゴス、アラバ、パレンシアを含む広大な扶持を創設。山間の旧ローマ街道沿いにあるため、交通と防衛の便がよいコバルビアスはその拠点となりました。
塔の名前にもなっているウラカは、フェルナン・ゴンサレスの娘で、レオン王オルドーニョ三世、オルドーニョ四世、ナバラ王サンチョ二世と結婚した女性(もちろん父親の政治戦略)。ウラカは、ガルシアからコバルビアスの広大な領地を与えられ、1005年に死去すると、この村に葬られたといわれます。
塔は、ちょうどこの時代、10世紀の建設。南のイスラム教徒の支配地から逃れてきたモサラベ(イスラム教徒支配地で、言語・文化的にアラブ化したキリスト教徒。語源はアラビア語の「アラブ化した人々」)により建設されたものと考えられており、コバルビアスの「コバ」が、アラビア語で塔を表わす「アル=コバ」から派生したという説もあります。塔は高さ22メートル。かすかにピラミッド型をしており、壁は一番厚いところで3メートルの分厚さ。小さな馬蹄形アーチの入口は、アルランサ川に面した南側、塔の真中辺りの、かなり高い位置にあり、現在は石造りの階段が付いていますが、建設当時は、木製の移動式階段を使って入っていました。危険が迫れば、階段を外して敵の侵入を防いでいたわけです。
ウラカの死後、ドーニャ・ウラカの塔は、コバルビアスの大修道院長に譲渡され、以後、修道院長の住居として使われていたようです。上部の石落とし付きバルコニーは、13〜14世紀の増築部分。屋根がついている最上部には、胸壁がめぐっていたはず。

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