スペインは歴史の街。紀元前3.000年ころアフリカから渡ってきたイベロ族、その後フェニキア人、北からのケルト人、ローマ人、ゲルマン諸族、そしてイスラム勢力の拡大とともにやってきたベルベル人。多様な民族の混合は、長い歴史の中でこの国独特の文化・風俗・習慣を生みだし、人間模様を織りなしている。
このようなスペインの多元的であり多様な歴史は、今でも街のあらゆるところに壮大なドラマを秘めて残されている。スペイン各地に残されている『古城』を訪ねると、この国のもつ入り組んだ複合性を垣間みることが出来るでしょう。

第11城 オリテ(ナバラ)後編

では、お城見学…現在はなんだか寒々とした内装ですが、豪華なタペストリーに覆われていた石造りの壁には、至る所に隠れ扉が配置されていたそうです。高さ20メートルの尖塔アーチに支えられた箱庭はさながら空中庭園。ちなみに、15世紀末、ナバラ王家は仏王ルイ12世の婚儀を祝って、ここに植えられていたオレンジ5本を贈り、そのうちの一本が今でもベルサイユ宮殿の庭園を彩っているという話。国境を越えて知られていたというカルロス3世の「動物園」には、ライオンやラクダ等が飼われたいたそうで、四方を高い塀に囲まれ、途中までしか階段がないライオン用のおりも残っています(アルヒベの塔から見える)。城の北裏には大きな卵形の冷蔵庫があり、冬に集められた氷を使って夏でもシャーベットが振る舞われたとか。ゴシックの連続アーチに彩られた歩廊(王の歩廊)は溜息が出るほど美しいし…などなど。みどころ満載。
そんな城館も、1425年カルロス3世死後すぐに、衰退の予兆が現われました。娘のブランカが王位を継承すると、その夫フアン(後のアラゴン王フアン2世)が事実上王となります。ブランカが亡くなると、息子カルロス皇太子が反王派の貴族たちに担がれて王位を主張するも、父フアンは譲らず。50年ナバラは内戦へ。結局、カルロスは61年に没し、王位は妹レオノールを経て、その夫の家系、フランスのフォア家に移ります。ナバラ王国では、皇太子に「プリンシペ・デ・ビアナ」という称号が与えられていました。敗者カルロスは、実際には王としての器量はなかったなんていう説もありますが、父王の権力欲の犠牲になった人のいい王子として、人々の同情の的になったようです。オリテでも妙な存在感があり、パラドールには「カルロス・デ・ビアナ」が内戦中にとらわれていたという小さな暗い部屋が残っています。で、その後のナバラは…王派VS皇太子派の二つに別れた貴族勢力がその後も対立を繰り返し、そこに周囲の大国の思惑も絡んで王権は不安定になり、16世紀初頭には、カトリック王フェルナンド(カルロス皇太子の異母弟)がナバラを占領。カスティーリャ王国に組み込まれました。
以後、カルロス5世、フェリペ2世は、カスティーリャ統治に対する不満分子や仏軍の根城ともなりかねない城塞の破壊を命じ、支配が行き渡った土地に自らの城を建設して行きます。パンプローナがその例。宮殿的色彩の強いオリテは、この時の破壊こそ免れたものの、かつての輝きを取り戻すことはないまま、時代は下って19世紀初頭、決定的なダメージを被ることになります。原因はナポレオン軍の進駐。ただし、城を破壊したのは仏軍ではなく、ここが仏軍の拠点となることを恐れたスペイン人でした。仏軍の脅威が消えると、今度は、住民が城跡から石材を運びだして、個人の建築に利用したり…。ようやく修復されるのは1925年以降。40年の歳月を要したそうです。

小林真紀

●建設年代:15世紀
●アクセス:パンプローナからA-15またはN-121を南へ30kmちょっと。
●保存状態:修復済
●見学:10〜3月10:00-14:00, 15:30-17:30(日-18:30)/4〜9月10:00-14:00,16:00-19:00(7〜8月-20:00)/聖週間・連休10:00-19:00
●インフォメーション:TEL(948)740035/260241
●周囲の見所:パンプローナのシウダデラは、フェルナンドの築城跡(シマンカスの国書保存館に設計図が残る)に、フェリペ二世が建設したお城の跡。スペインお城建築の最後期、以後建設される城塞のプロトタイプと言えます。五角形で五隅に稜堡、大きな堀を有する仕組みは、極力死角をなくすように工夫され、大砲による攻撃に備えたもので、ルネッサンス期イタリアの城塞建築がお手本。
近くには、タファリャやハビエルのお城もあります。ハビエル城はあのフランシスコ・ザビエルの生家。
トゥデラのコゴリョ(小レタス)や赤ピーマンやアスパラガスなど、ナバラ料理は野菜が豊富なのが嬉しい。主要な観光地では、週末もインフォメーションが開いています。
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