スペインは歴史の街。紀元前3.000年ころアフリカから渡ってきたイベロ族、その後フェニキア人、北からのケルト人、ローマ人、ゲルマン諸族、そしてイスラム勢力の拡大とともにやってきたベルベル人。多様な民族の混合は、長い歴史の中でこの国独特の文化・風俗・習慣を生みだし、人間模様を織りなしている。
このようなスペインの多元的であり多様な歴史は、今でも街のあらゆるところに壮大なドラマを秘めて残されている。スペイン各地に残されている『古城』を訪ねると、この国のもつ入り組んだ複合性を垣間みることが出来るでしょう。

第9城 コカ(セゴビア)

15世紀後半にフォンセカ家によって建てられたムデハル様式(*)のお城。セビーリャから招かれた技術者たちがこのお城の建築に携わっていました。ムデハル建築の特徴の一つ、れんがが織り成す模様がとても美しい。
しかし、時代はルネッサンス。16世紀初頭、他の貴族たちと張り合って、2代目城主アントニオ・フォンセカは、ムデハル様式で飾られたパティオをルネッサンス風に改築したといわれます。しかも、戦争には鉄砲や大砲といった新しい技術が使われるようになっており、お城にも新技術対策が必要となっていました。建築を始めたアロンソ・フォンセカには娘が2人ありましたが、王家に反抗的な貴族に嫁いでいた彼女らに城が相続されないよう、カトリック両王は女子がこの城を相続するのを禁じたそうです。アロンソからお城を継いだ弟のアントニオはイサベル女王のお抱え軍人。自ら指揮して頑丈な城壁や大きな堀の建設に当たったとか。
そんなわけで、コカ城は当時の最新技術を備えたお城でした。外壁の塔の地下には筒状の水槽があり、堀の反対側にあった地下貯水池から水が引かれていました。この水は大砲を冷やすのにも役立ったのですが、敵来襲探知器でもあったのだ。画期的! 堀の反対側の貯水池には地下を通って四方から水が引かれていて、敵が城の地下爆破を狙って地下道を掘った場合、水の振動により、城から出ることなく敵の来襲を知ることができるようになっていた。しかも、貯水池には常に水がいっぱいに張ってあり、この水を使って敵の地下道を水攻めにすることもできた。というわけです。(残念ながらこの仕掛けを見ることはできませんが。)
19世紀にナポレオン軍により破壊されたお城は今世紀になって修復され、現在はカスティーリャ・イ・レオン州立農林学校になっています。所有者はアルバ公爵家。ガイド氏によると、お城の店子である国が大家のアルバ家に払う賃貸料は、年額たったの1ペセタ! なのだそうです。

小林真紀

*ムデハル(mudejar):キリスト教徒に再征服された後のイベリア半島で、自分たちの信仰・法習慣を維持しながら残留を許されたイスラム教徒のこと。彼らが伝えたイスラム芸術はスペインのキリスト教建築に大きな影響を及ぼした。れんが構造、タイル使用、彩色格子天井などなど…が特徴。

●建築年代:15世紀後半〜16世紀初頭
●アクセス:セゴビアからC-605をSta. Maria la Real de Nievaまで。ここから横道にそれる。
●保存状態:修復済み
●見学:10:30〜13:30/16:30−19:00(冬16:00〜18:30),土日休日11:00〜13:30/16:00〜18:30(ガイド付)電話:921-586622。
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